Prop Tech plus
2026/05/19NEW
T2TR ComFort

IT専門部隊なき「システム刷新プロジェクト」の完遂

「ケネディクス不動産投資顧問株式会社」様にインタビューさせていただきました。

IT専門部隊なき「システム刷新プロジェクト」の完遂

今回お伺いしたお客様

ケネディクス不動産投資顧問株式会社

導入前の課題と背景

データの分断による二重入力と、保守終了への対応が急務に

プロジェクトが動き出したのは2019年から2020年頃です。
当時は他社システムや『STREAM』を併用していたのですが、レントロール(賃貸借条件一覧表)などのデータが分散しており、常に二重入力や二重チェックが発生している状態でした。

その時期、情報セキュリティ対応や『STREAM』のサポート終了というシステム上の課題も重なり、「リプレイス」が避けられない状況になったことから、システム刷新というプロジェクトが本格的にスタートしました。

解決したかった課題
  1. 1複数システム管理に伴うデータ二重登録、チェックの手間
  2. 2工事管理と支払管理の分断によるワークフローの停滞
  3. 3システム保守終了に伴うリプレイス対応

T2TR ComFortを選んだ決め手

『STREAM』の後継候補として、T2TR ComFortをはじめとした複数のシステムを比較検証しました。

その中で最も重視したのは、実際に運用を担うPM会社をはじめとした「ユーザー側の使いやすさ」です。現場の操作性を第一に考え、ポートフォリオ全体での予実管理等、実務に即した利便性を追求した結果、T2TR ComFortの導入を決断しました。

導入時のプロセス

1年半にわたる大規模プロジェクト。トップダウンの決意で一元化を完遂

混在するデータと、分断されたワークフローからの脱却

T2TR ComFortを導入する前は、レントロールを『STREAM』と他社システムへ二重登録するという作業が常態化しており、多大な工数を割いていました。

さらに、複数システムを利用していたことにより、「工事管理」と「支払管理」が分断されていたことをはじめ、レントロールの登録内容が発生ベースとキャッシュベースが混在しており、フローは決してスムーズとは言えませんでした。

こうした課題を解消するため、単一フローのデータ入力を起点とした、データの突合やダブルチェックを丁寧に行うことで、データの一元化とワークフローの簡略化を実現できたことは大きな成果です。

盤石な協力体制と「当事者意識」

第一弾のプロジェクトは約1年半に及び、現場、IT戦略部、外部専門家を含め総勢20〜30名という広範な布陣で臨みました。

初期段階ではデータ移行で予期せぬ問題にぶつかり、データ移行計画・作業のやり直しを迫られる苦い局面もありましたが、経営陣が「データの標準化とシステムの統一は必須課題である」と強い決意を示し、トップダウンで背中を押し続けてくれたことが、チームの折れない支えとなりました。

想定外の負荷トラブルを教訓に、さらなる進化へ

システム稼働当初、膨大なデータ量によりレスポンスが低下する事態に見舞われましたが、「本番と同等の負荷テストが不足していた」という非機能要件の検討不足の反省をチームの共通認識とし、現在はサーバー増強やアルゴリズムの抜本的な改善を視野に入れ、さらなる安定稼働を追求しています。

一方で、操作の定着化にはこだわりました。
マニュアルの整備はもちろん、説明会を動画化してチーム内で共有するなど、誰もが迷わずシステムを使えるような環境づくりを徹底して作り上げました。

PM会社にとっても、テナントの異動やNOIを精緻に把握できることは収益向上に直結します。
ユーザテストにおける体制構築も含め、T2TR ComFortを通じて、社内外を含めた、関係者全員が同じ視界で情報を共有できる環境を整えたことが、大きなポイントとなりました。アセットマネージャーだけではなく、プロパティーマネージャーの声をシステム運営に反映することは重要であると感じました。

T2TR ComFort導入後の効果

導入後、二重登録の負担が減ったことで、現場の業務がスムーズになったと実感しています。

ですが、まだ手放しで喜べる状態ではありません。現状、システムから出力したデータをExcelで加工する作業が残っており、特に「人による判断」が必要な部分のデジタル化が急務だと感じています。

今後は、この「Excel作業」を極限まで減らし、システム内で業務を完結させることが目標です。
さらにその先では、蓄積されたデータを分析し、打ち出した施策にどれだけの効果があったのかを客観的に検証できる仕組みを作りたいと考えています。そのためには、会社としてのデータマネジメントの考え方を明確にし、運用に反映していくとともに、データサイエンスの力を借りて、より戦略的なアセットマネジメントを実現していきたいです。

具体的な成果
  1. 1データの完全一元化によるワークフローの簡略化
  2. 2テナント異動やNOIの精緻な把握による質の高い情報分析が可能に
  3. 3蓄積されたデータを活用し、施策の効果を客観的に検証できる基盤を構築

今後の展望

「脱・メール依存」のコミュニケーションと、データが裏付ける戦略的な運用へ

ITの専門家がいなくても、システム導入は成功させられる

私たちが今回のプロジェクトを通じて確信したのは、社内にITの専門部隊がいなくても、自分たちの業務を深く理解し、自己研鑽を惜しまなければシステム導入は成功させられるということです。

これは、同じ悩みを抱える他のAM会社の皆様にも強くお伝えしたい点です。

業界の次なる壁は、PM会社との「メールコミュニケーション」

一方で、業界全体の課題として「メール依存」のコミュニケーションが色濃く残っています。
1日に数百通ものメールが届く環境では、どうしても情報の散逸は避けられません。また、情報セキュリティの観点でも、外部からの攻撃の起点になり得るほか、宛先送付ミス等のリスクが避けられません。

今後は、担当物件や必要な情報に絞ってリアルタイムに共有・蓄積できる仕組みが必要であり、システム内でコミュニケーションが完結することこそが、次なる効率化の「柱」になると考えています。

「データマネジメント」が、戦略の精度を決める

また、今後はデータウェアハウスの構築も視野に入れています。

マーケットデータと自社パフォーマンスを比較し、施策の妥当性や外的・内的要因による効果測定を正しく行うためには、データマネジメントがすべての基盤となることから、さらなるPM会社との連携強化や、システムへの習熟を深めていきたいと考えています。

T2TR ComFortとProp Tech plusに対する期待

PM会社とのやり取りの中で、データの正誤確認を人の手による確認でカバーしている現状は、まだ改善の余地があると感じています。
システム側で整合性がより強固にチェックできるようになれば、業界全体の業務の質はさらに高まるはずです。

それと同時に、実際に利用するユーザーの利便性も妥協したくありません。
例えば、過去の膨大なデータから必要な情報を瞬時に引き出せる検索機能の強化は、実務において非常にニーズが高いものだと思っています。
こうした現場の切実なリクエストを大切にし、開発の優先順位を見極めながら、着実にアップデートを重ねてほしいと考えています。

また、「T2TR ComFort」に格納されたデータのさらなる有効活用にも期待しており、他システムとのAPI連携や、入力フローにおいてAIを適宜利用していくことが今後の課題と思われます。

具体的な要望としては、以前のシステムで対応していた「準共有持分」や「区画分割処理」といった特殊な物件管理についても、標準機能としてカバーされる日を心待ちにしています。

インタビュイー

杉山

IT戦略部長

野崎

上場リート本部 資産運用第一部 運用第二チーム マネジャー

塩谷

私募リート本部 資産運用部 運用チーム 兼 アカウントチーム 兼 デジタル運用統括部 マネジャー

北村

上場リート本部 ポートフォリオマネジメント部 兼 デジタル運用統括部 シニアマネジャー

堀田

上場リート本部 資産運用第二部 運用第一チーム シニアアソシエイト

坂口

IT戦略部 マネジャー

おわりに

ケネディクス不動産投資顧問株式会社様

このたびは貴重なお話をありがとうございました。
現場のリアルな悩みや、それを解決するための熱意ある取り組みは、私たちがご支援する多くの企業様にも共通する大切な視点だと改めて感じました。
本事例が、DXや業務効率化の「次の一歩」を検討されている皆さまの力になれば幸いです。

状況に応じたご相談も承っておりますので、お気軽にお声がけください。

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